副腎皮質系のホルモン異常
副腎皮質機能低下症
副腎皮質機能低下症は、抗炎症、免疫抑制作用、血糖上昇作用等を持つ、副腎皮質から分泌されるコルチゾールの分泌が低下するものである。
原因 Cause |
原因は、副腎の疾患と、下垂体の副腎皮質ホルモン低下の疾患である。 |
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症状 Symptoms |
食欲不振・吐き気・嘔吐・疲労・体重減少・低血糖・全身に褐色の色素沈着 |
治療 Treatment |
原因疾患の治療と、糖質コルチコイドを補給する。 |
副腎クリーゼ(急性副腎皮質機能不全)
副腎クリーゼ(急性副腎皮質機能不全)は、副腎皮質ホルモンの生成、分泌が異常になるものである。
原因 Cause |
副腎の外傷等による副腎機能低下症や、アジソン病、副腎皮質ホルモンの服用停止等が原因となる。副腎皮質ホルモンは、身体の代謝、機能調整をつかさどるもので、緊急に治療しないと、生命の危険がある。 |
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症状 Symptoms |
倦怠感・食欲不振・嘔吐・腹痛・下痢・発熱・血圧低下・呼吸困難・チアノーゼ・意識障害 |
治療 Treatment |
緊急に副腎皮質ホルモンを供給し、ブドウ糖、電解質の輸液を要する。 |
副腎性器症候群
副腎性器症候群は、副腎皮質ホルモン、アンドロゲンの分泌が増加し、性器の発達に障害が起こるものである。
原因 Cause |
先天性の酸素欠損による副腎の過形成が原因である。副腎腫瘍が原因となる場合もある。 |
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症状 Symptoms |
思春期………性早熟、ペニス巨大化、女児の男性化 思春期以降…乳房萎縮、月経がなくなる、体型の丸みが失われる |
治療 Treatment |
ハイドロコーチゾンを服用する。腫瘍は摘出する。 |
アルドステロン症
アルドステロン症は、副腎皮質ホルモンのひとつのアルドステロンが過剰分泌するものである。アルデステロンは、ナトリウム、カリウムの量を調整するものである。
原因 Cause |
副腎皮質の過形成や副腎の腺腫、肝硬変、心不全等を原因とする。30〜40代女性に多い。 |
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症状 Symptoms |
高血圧・多尿・喉の渇き・脱力感・筋力低下・麻痺 |
治療 Treatment |
線種の摘出や薬物治療をする。 |
クッシング症候群
クッシング症候群は、副腎皮質ホルモン、コルチゾールが慢性的に過剰になるものである。
原因 Cause |
過剰になる原因は、副腎の腺種、脳下垂体の悪性腫瘍や腺種等である。コルチゾールは、免疫抑制作用、抗炎症、たんぱく質の合成・分解、血糖上昇作用等をつかさどる。 |
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症状 Symptoms |
脂肪沈着によって、顔が丸くなる(ムーンフェイス)・胸、腹が太る・手足が細くなる・皮下出血しやすい・性欲、筋力低下 合併症として、高血圧、糖尿病、骨粗しょう症等が起きる。 |
治療 Treatment |
治療は緊急を要する。感染しやすく重症になりやすい。腫瘍摘出手術、放射線治療、ホルモン抑制剤投与を行う。 |
アジソン病
アジソン病は、副腎皮質が破壊されて、副腎皮質ホルモンの生成分泌が行われなくなるものである。
原因 Cause |
自己免疫や、副腎結核が原因となる。 |
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症状 Symptoms |
皮膚の色素沈着・食欲不振・嘔吐・脱力感、疲労感・体重減少・低血圧 |
治療 Treatment |
副腎皮質ホルモン剤を、一生にわたり使用することになる。塩分も多く摂取する。 |